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2017年12月20日水曜日

【閑話休題73】郵便ポストにご用心

先日の午後、愛犬小太郎とともに散歩に出かけた。
手には封書が一通。その前日、ドラマーの森山威男さんを囲んで『スイングの核心』を上梓した記念の打ち上げがあった。森山さんにお礼を書いて投函しようと、駅前のポストに出かけた。
師走である。ポストの投函口は、左が年賀郵便、右が通常郵便に分けてる。右に投函しようとしたところ、私の顔の至近距離のぬっと顔が突き出された。
見れば見知らぬ老人で、杖を突いている。あまりの異様さに、封書を投函してそさくさと去る。いやな予感がして振り返ると、この老人は投函口に手をつっこんで、封書を取り出して手元のバックにしまっている。私の投函が十分ではなく、下まで落ちきっていなかったのだろう。封筒の白が目にしみた。
不審な人物の不可解な行動。とっさに声をかけてよいか迷って後をつける。バックから私の封書を取り出して、点検してまた戻す。金目のものかどうか見聞したのだろうか。さらに近くにある別のポストに行くと、また、左、右とまたしても手をつっこんでいる。
あまりのことに、
「手紙を返して下さい。明らかな不法行為です」と声を掛けた。
「なんでもない」
と、否定して逃げ去ろうとする。
再度、注意を喚起すると、いやいや皺になった封書を返して、後ろを振り替えずに、足早に去っていった。
手紙はポストの下に落ちるまで、何があっても確認しましょう。そんな教訓を導き出したいわけではない。
世の中には、悪意が充満していて、トラップがあちこちに仕掛けられている。年の瀬の実感なのだった。