七月はなにかと忙しく、講評会が続いて大学に通い、現代演劇を観るうちに、
松本にシンポジウムのために出かけることになった。言い訳になるけれども、
歌舞伎座の劇評を書く時間がどうしてもとれずに、遅くなってしまった。
松本ははじめて訪ねたけれども、街並みばかりではなく、市民のみなさんが、
人生を楽しんで生きているのがよくわかった。水が澄んで、空気が透明で、野菜がおいしい。
夏もしのぎやすく、喜びにあふれた。そばばかりではなく、よいイタリアンレストランにもめぐりあい
またとない時間を過ごした。
七月半ばになると私の務める東京芸術大学も来年度の学部、修士、博士の募集要項の配布がはじまる。
定年を考えると、来年入学する学部生が、仮に博士後期課程まで行くとすると、
博士号取得まで、通して教えられる最後の学年になると考えたりもする。
そんなことにこだわっているわけではないが、
私の研究室からも多士済々、芸術に対して尊敬を持つたくさんの学生に恵まれたので、
今更、何を望むわけではないが、劇評家としての後継者は、どうも育てそこなっている気がする。
批評を書きたい学生が受験してくれるといいのにと思ったりする今日この頃です。