平成二十七年、今年の一月に「長谷部浩の劇評」ブログを立ち上げた。書いた劇評は、わずかに29本。
決して褒められた数字ではないが、統計を見るとページビューは順調に伸びて4万ビューを今日超えた。
個人ブログの長所は、自覚さえあれば、観劇の翌日でも劇評を発表することができる。即時性のメディアである。
難点は、編集者や校正者の目を経ないために、誤字脱字はもとより、思い込みによる間違いが起こりかねない。
私の場合は、大学院の修了生のひとりに、目を通してもらうようにしてきた。
これだけでも、自分ひとりで書き、アップロードするよりは、安全性が高くなる。
特に今月、変わったなと思ったのは、新橋演舞場の「ワンピース」についての反応だ。
これまでの歌舞伎劇評のおよそ二倍のビューを即座に刻んだ。
コミックの読者が若いために、ネットとの親和力がいいこともある。
それだけではない。
勘三郎が懸命に生涯を賭けてやっていたように、
演劇は事件であり、社会現象にならなければ生き残れないのだなと思う。
一方、多摩美の講義で、今回からある作品の映像を、ほとんど数分ごとに止めて、
演出の技法を解析していく仕事を始めている。
私なりに新しい講義の技法を開発している手応えがある。
繰り返しはいけない。常に自分を変えていく。淀みをつくらない。
そんなことを思いながら、上野毛から帰途についた。