長谷部浩ホームページ

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2015年9月1日火曜日

【閑話休題23】いよいよ大詰

書き下ろし203枚。ついに200の大台を超えた。勘三郎と雑誌『演劇界』がもめたときの話にまで筆が届いた。次の章は勘三郎襲名になるか。間に一章入れようか迷う。いずれにしろ、いよいよ大詰にかかるわけだけれど、まだまだ文章が荒く、直すところは数限りない。ともかく今は最後の時間に辿り着くまで、走り抜けようと思っている。
今回の書き下ろしに先立って、大学院生の関根さんが私が勘三郎と三津五郎について書いた原稿をきちんとコピーしてファイリングしてくれたのが大きい。自分の文章を読むと、その当時の歌舞伎界の様子までもが、急に甦ってくる。それにしても、ふたりについて、こんなに書いてきたのかと驚くばかりだ。
菊五郎さんについて「菊五郎の色気」を書いたとき、
「はじめに」で「私は正直言って、菊五郎にとってよい観客ではなかった。同世代に中村勘九郎(現・勘三郎)、坂東八十助(現・三津五郎)がいたこともあって、彼らの清新な演技を見続けるのが自分の仕事だと思ってきた」としるしている。当時は、なにげなく書いた一文が、今となっては別の意味を持って胸に迫ってくる。