長谷部浩ホームページ

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2017年12月1日金曜日

【閑話休題71】ブログに舞台写真は必要ですか?

 舞台写真をこの十一月から掲載することにした。
もちろんすべてではない。たまたま手に入ったときに限る。

きっかけは東京芸術劇場で野田さんの『One Green Bottle』である。
芸劇、製作課長の内藤実奈子さんから舞台写真が収められたCDをもらった。内藤さんは私がブログで劇評を書いていることをよく知っている。以前、ある舞台の批評をツイートしてよいかと訊ねられた。そのときには別に舞台写真の話はしなかった。

十年前はいざしらず、批評家が舞台写真を終演後もらうことは少ない。新聞や雑誌の担当者と宣伝部がやりとりする。担当から相談を受けることはあるが、筆者が自分で掲載写真を決めて、宣伝部とやりとりする機会は少ない。
また、以前は、大劇場では、すべての関係者にキャビネ判の舞台写真を配っていた。油断するとくっついてしまいそうな出来たてほやほやの紙焼きだったが、今は現役の記者の手にしか渡らないと思う。このごろは聞くところ、紙焼きではなく、データの受け渡しになっているという。舞台写真の一覧をのせたサムネールのような印刷物をもらって、使いたい写真を宣伝部に発注する仕組みに移りつつあるらしい。
もっとも、私がこのブログで書いている劇評には担当編集者はいないから、もし、舞台写真を載せたいと思えば、宣伝部と私が交渉しなければならない。そのやりとりを考えるとなにかと煩雑なこともある。また、現在はネット上にいくらでも舞台写真は公開されているので、それでよいではないかとの思いもあった。けれど、劇場でCDのかたちで渡されれば、それほどの手間でもないし、この劇評サイトにアップしてもよいかなと思うようになりました。
私自身にはそれほどの実感はないが、たぶん演劇宣伝の現場も変わりつつあるのだろう。インターネット上でいかに話題になり、関心をひくかが以前より重みを持っているのは確かである。
もとより私の書く短文の劇評に観客動員を左右する力があるとは思っていない。けれども、紙のメディアよりは速報性のあるインターネットが劇を愉しみ、劇を読む参考になればとは思う。
早川書房の『悲劇喜劇』誌上で、「シーンチェンジズ 長谷部浩の演劇夜話」と題した長文の劇評を書くようになった。もう、三回目の原稿を渡した。今は、備忘録のようにこの「シアターゴーアー・ディレクトリ」に短文の劇評を書き、そこで考えたことを「シーンチェンジズ」に仕立て直す様にしている。また、「シーンチェンジズ」には舞台だけではなく、関連の書籍や映画、演劇人の思い出も織り込みたい。
テニスから帰ってきて心地よく疲労している。舞台写真のことを書くつもりが、脱線してしまった。
深呼吸して、身体をリラックスさせて、しばらくは劇評を書いていこう。