長谷部浩の劇評 Hiroshi Hasebe TheaterGoer Directory
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2020年12月14日月曜日
【劇評178】三島由紀夫の情熱と冷血。麻実れいの『班女』をめぐって。
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冷ややかな情熱という言葉がある。 もちろん形容矛盾ではあるが、どうもある階級の人々には、情熱のなかに、度しがたいばかりの冷血が潜んでいるようで、三島文学の主題は、この情熱と冷血をいかに作品に共存させるかに腐心していた。 もっとも、小説よりも戯曲が有利なのは、この情熱と冷...
【劇評177】三島的ではないが、血の通った加藤拓也作・演出の『真夏の死』。
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三島由紀夫については、深い思い入れがある。 もちろん私は小説家としての三島を『花盛りの森』から読み始めた。劇作家としては、なにがもっとも先行していたかは難しいが、おそらくは『サド侯爵夫人』か「近代能楽集」のなかに納められた一幕物だったろう。 今回、三島由紀夫ボツボ五十周年...
【劇評176】緒川たまきのコケットリーと高田聖子の胆力。ケラリーノ・サンドロヴィッチのコメディを観て。
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久し振りにコロナウイルスの脅威を感じることなく舞台に接した。少なくとも、休憩がはさまるまでは、舞台に引き込まれて現実を忘れた。 ケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出の『ケムリ研究室 no1 ベイジルタウンの女神』が、世田谷パブリックシアターで上演されていた。上演期間のほとん...
【劇評175】現世の人の身の背後に、亡霊が。玉三郎の『口上 鷺娘』にこぼれる悲しみ。
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一九八六年にアンドルー・ロイド・ウェバーによるミュージカル『オペラ座の怪人』が誕生した。ガストン・ルルーの小説を原作とした舞台は、世界を席巻した。才人、加納幸和は二○○一年に福島三郎との共同台本で、『かぶき座の怪人』という自由な翻案を作り上げたのを思い出す。 この九月、第四...
【劇評174】幸四郎の冷酷と猿之助の妄執。怨嗟にあふれる世界を撃つ舞踊劇「かさね」
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四部制は、間の消毒の時間を考えると、ひとつの部の上演時間に制約がある。また、半通しのような上演形態もむずかしいだろうと思う。 観客の満足度を考えると、ドラマ性のある舞踊劇で、できれば道具の仕込みに手間がかからない狂言がふさわしいという結論に達する。 九月も舞踊劇が『かさ...
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